心と体を調える女性のためのスピリチュアルメディア『AGLA』で、とくに人気の高かったコラムを再掲する「AGLAアーカイブス」。2020年10月16日公開記事『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第六十六回)』よりお届けします。
朝の散歩で、金木犀と銀木犀の花に心癒されました。
金木犀(キンモクセイ)は銀木犀(ギンモクセイ)の変種と言われ、「木犀」と言えば、一般的には銀木犀(ギンモクセイ)のことをさすそうです。
オレンジの花は金木犀。白い花は銀木犀。
どちらの花にも「初恋」という可愛らしい意味があるんですよ。
私が暮らしている町では、甘やかな香りとお別れです。
皆さんの町はいかがですか?
さて、今日は「西のお伊勢様」と呼ばれる素晴らしい神社をご紹介しましょう。
三方を海に囲まれた地に鎮座する「山口大神宮」。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)と、その荒御魂(あらみたま)とされる女神さまを祀る神社です。
流れる空気は伊勢そのもの。色とりどりの蝶と出合った美しい旅でした。
「一生に一度はお伊勢さま」
「伊勢に行きたや伊勢路が見たい せめて一生に一度でも」と伊勢音頭に唄われるお伊勢参り。
江戸時代、庶民にとってお伊勢参りは憧れの的でした。
国学者であり医師でもあった本居宣長(もとおりのりなが)は、伊勢松坂の出身です。
本居宣長が著した『玉勝間(たまかつま)』には、今から395年前の寛永2年4月9日から5月29日までの50日間に合わせて362万人、また、享保3(1718)年の正月元旦から4月15日までは、合わせて42万7500人の人々がお伊勢参りをしたと記されています。
山口大神宮は伊勢まで行くことができない西の地方に暮らす人々がお参りする神社としても栄え、古くから「西のお伊勢さま」と呼ばれ親しまれてきました。
御鎮座から五百年を迎える山口大神宮
山口大神宮は、戦国武将大内義興(おおうちよしおき)が伊勢神宮のご分霊を勧請し、創建した神社です。神宮から直接、御分霊を受けて創建されたのは、明治になるまでは、実に、山口大神宮だけだったそうです。
近くには神宮と同じ、五十鈴川と呼ばれる川が流れています。
長い石段から見上げる風景はまさに、伊勢。
山口大神宮には多くの神々が祀られています。
内宮(ないくう)のご祭神はもちろん、天照大御神(あまてらすおおみかみ)。
そして、内宮の別宮である荒祭宮(あらまつりのみや)には、天照大御神の荒御魂(あらみたま)として瀬織津姫命(せおりつひめ)が祀られています。
外宮(げくう)には豊受大御神(とようけの おおみかみ)と、外宮別宮である多賀宮(たがのみや)には荒御魂(あらみたま)である伊吹戸主命(いぶきどぬしのかみ)が祀られています。
『君の名は。』のモデルとされる祓いの女神
古事記や日本書紀といった記紀にその名は記されていませんが、『延喜式』の祝詞の「六月晦大祓詞(みなづきつごもりのおおはらへ)」に記される祓戸(はらえど)四神の二柱が荒御魂として祀られている山口大神宮。
瀬織津姫は千年以上の時を、「お不動さま」「滝神」として祀られてきました。
映画『君の名は。』のモデルとなった女神さまともいわれています。
ヒロインの女子高生の名前は、宮水三葉(みやみず みつは)。
東京に憬れる岐阜県糸守町に住む高校生であり、宮水神社の巫女さまでしたね。
「三葉」という名前ですが、新海誠監督が「罔象女神(みつはめのかみ)」という水を司る女性の神さまを参考に命名。罔象女神は瀬織津姫(せおりつひめ)の別名とされます。
そして、もう一人。東京のイケメン男子。
三葉の思い人である立花瀧(たちばなたき)。
名前に、滝神として祀られてきた瀬織津姫を彷彿とさせる文字が入っているのも意味深いなと思います。
「あなたは誰?」「お前は誰だ?」
「君の名は?」……
山口大神宮を参拝し、改めて映画が見たくなりました。
蝶が舞う聖地
「祓いに始まり、祓いに終わる」といわれる神道の世界。
神道では自らの祓い清めが、信仰的にも神様に近づくための大切な行いとされます。
仕事を通じて山口大神宮を参拝した日、海を渡って長い旅をするアサギマダラが真っ白な花の蜜を吸っていました。
アサギマダラをはじめ、黒、黄、白と色とりどりの蝶が境内を舞う光景はなんとも神秘的でした。
蝶は「永遠の愛」のシンボルともいわれています。
「祓え給い、清め給え、守り給い、幸(さきわえ)給え」
お祓い下さい、お清め下さい、神様のお力によりお守り下さい、幸せにして下さい。
祓えは罪や穢れはもちろんのこと、災厄などの不浄を心身から取り除くためのもの。
withコロナの新時代を元気に生きぬくためにも、今、祈りの旅へ出掛けませんか?
参考文献
『神社のいろは』監修:神社本庁 扶桑社