【AGLAアーカイブス】年神様を迎える新年に向けて、暮らし、心、体を整えよう

AGLAアーカイブス

心と体を調える女性のためのスピリチュアルメディア『AGLA』で、とくに人気の高かったコラムを再掲する「AGLAアーカイブス」。2019年12月27日公開記事『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第三十五回)』よりお届けします。

いよいよ、今年も残すところあと数日ですね。年越しの準備に追われている方も多いでしょう。私は12月に入り、「身軽に暮らす」をテーマに、家中のものを整理。足の踏み場もない、悪夢のような3日間を乗り越え、必要のないものをすべて処分しました。

きれいになった部屋に年神様をお迎えするため、花作家さんがおつくりになった輪飾りを購入。

そしてこの4年間、一緒に年越しをしている、正月こけしを磨いて準備を。

心すっきり、令和元年最後の記事を書いています。 

新しい年の訪れを意識するこの季節。

昔と今とでは暮らしが変わり、行事自体が簡略化され、衰退しているものもありますが、季節のめぐり、人の暮らしに寄り添いながら、時代とともに形を変え、受け継がれてきた日本の心があります。

今日は、昔ながらの年越しの風習やいわれ、新陳代謝が最も低下するといわれるこの時季の体のケアについてご紹介します。

・門松や輪飾りを飾るとよい日、飾ってはいけない日

・邪気祓いになる正月飾り

・体を温め、エネルギーを高める

・白髪が目立つ時季の頭皮のマッサージ法などなど・・・

年神様を迎える新年に向けて、暮らし、心、体を整えましょう。

年神様が迷わずやってくるための目印とは

木に神が宿るという発想から生まれた門松を飾る風習。

門松は新年の年神様を迎えるための依り代とされています。言うなれば、年神様が迷わずやってくるための目印。地方によってその形態は異なりますが、竹や梅など、縁起のよいものを添えて、戸口に立てるのが一般的です。

また、輪飾りを、門、各部屋、自動車、自転車等に飾り、一年の無事を祈る風習もありますね。

皆さんは、門松や輪飾りを飾るとよいとされる日、逆に、避けた方がよいとされる日があることをご存知ですか?

よい日は、27日、28日、30日。

避けた方がよいとされるのは、29日と31日です。

29日は「苦」に通じ、31日は「一夜飾り」とされ、年神様に失礼にあたると考えられ、この2日間を避けて飾るのが昔からの習わしとなっています。

源氏物語にも登場する正月飾り

重要な正月飾りのひとつが、鏡餅。古くは「餅鏡」と呼ばれていたそうです。

かの『源氏物語』「初音」の巻にも、「ここかしこに群れ居つつ、歯固(はがため)の祝ひして、餅鏡をさへ取り寄せて、千年のかげにしるき、年の内の祝ひ事どもして…」とあります。

日本人は千年以上も昔から鏡餅を飾り、新年を迎えてきたのですね。

鏡餅は一年を守って下さる年神様への供物。

鏡餅も、門松や輪飾り同様、29日と31日を避けて飾るのが一般的です。

日月ふたつの餅をひと重ねとして、昆布や串柿、橙などの縁起物を添えて、床の間や神棚、仏壇に飾ります。

昨今の住宅では和室がないという家も多く見られますので、床の間にあまり馴染みのない方も多いかもしれません。その場合は、玄関や家族が集まるリビング等の目線より少し高めの場所に飾るとよいでしょう。

一人暮らしという皆さんも、100円ショップでミニサイズの可愛らしい鏡餅が手に入りますから、ぜひ鏡餅を飾って、新年をお迎えください。

黒色に秘められた邪気祓いの力

「お餅は食べないし、無駄になってしまうから鏡餅は飾りたくない」という方におすすめなのが、「炭飾り」。

茶道で、新年の床飾りに用いられる木炭。

茶を点てる時、炭は湯を沸かすのに欠かせないものですが、さらに茶室を清めるという重要な役割があり、炭への感謝の気持ちを込めて、縁起物と合わせ、炭を床の間に飾るようになったそうです。

クヌギやマツ、スギ、サクラなどの木を高温で焼き、窯全体を石や粘土で密閉して完全に冷ましてから取り出した黒炭の黒色には、邪気祓いの力があるとも。

その他、炭には悪臭を取り除く効果があります。

古からの暮らしの知恵を生かし、正月飾りとして、「炭飾り」を飾ってみるのもよいでしょう。

健やかな新年、人生の春の訪れを願うバスタイム

2019年の冬至は12月22日でした。よく、冬至の日にゆず湯に入ると風邪をひかないと言われますね。この時季は新陳代謝が低下して、体温も下がるため、体調管理はことのほか重要です。

何かと慌ただしい年末年始、体調を崩すことなく、健やかに過ごすためにも、バスタイムにゆずを。

これは、江戸時代に始まった風習だそうですが、「冬至」と「湯治」、「ゆず」と「融通がきく」と語呂合わせをして、無病息災の祈りを込めて、冬至の日にゆず湯に入る風習が生まれたとか。健康であれば何事にも融通が利く、ということでしょうか(笑)。この時季、スーパー等でも販売されています。

ゆずを輪切りにして、ガーゼで作った袋に入れて湯船に浮かべれば、さわやかな香りに癒され、いつものバスタイムが極上のひとときに。ゆず湯はひび割れやあかぎれによいとされる他、血液の流れを良くする効果が期待できることから、風邪予防にもつながるといわれています。

また、ゆずのように香りの強い植物には邪気を祓う力があると信じられてきました。

陰極まりて(いんきわまりて)陽に転じる日とされる冬至を境に、日も少しずつ長くなり、一歩一歩春へと近づいていきます。

健やかな新年、人生の春の訪れを願い、ゆず湯で体の芯からぽかぽかと温まりましょう。

白髪が目立つ時季に、頭皮のマッサージを!

出がけに鏡を見て、「あっ、白髪」と、ブルーな気持ちになる人が増えるのが、この時季。

古典の「黄帝内経素問」には女性が42歳、男性は48歳から髪が白くなると書かれてあるそうです。

白髪は個人差や体質もありますし、染める、染めないは個人の自由。

最近では、近藤サトさんがテレビ番組に白髪のまま出演、世の女性たちの注目を集めました。

また、アメリカでは、ニューヨークの高齢の女性たちのファッションを紹介する写真集が出版され、話題となりました。登場する女性たちの多くは、白髪を隠さず、ファッショナブルに装い、街を闊歩。その颯爽とした姿に勇気をもらったアラフィフ女性も多かったと聞きます。

ただし、血行不良やストレスといった負の要因が、白髪につながるケースも。

この時季、頭皮の環境を考え、意識して頭皮のマッサージを心がけましょう。私は、松倉クリニックの田路めぐみ先生が伝授するマッサージ法を実践しています。

●まず、頭の前に、耳からマッサージ。耳をつまんで軽く引っ張りながら、もみほぐします。さらに引っ張ったまま深呼吸を3回。これで、頭皮の緊張を和らげます。

●次に、軽く握りこぶしをつくり、握りこぶしの平らな面で、おでこから眉毛を持ち上げる気持ちで、力を入れながらくるくると円を描くように、こめかみまでマッサージ。

●つづいて、指を広げて頭の上に手を置き、全体をもみほぐします。
頭皮を骨からひきはがすイメージで、念入りにマッサージをしてください。

●側頭部は、握りこぶしの平らな部分を押し当て、こめかみから後頭部に向かって、小さく外回りに円を描くようにほぐします。老廃物がたまりがちな場所なので、入念に。姿勢は正して正面を向き、口を少し開けて、自然な呼吸をしながらマッサージを。

首と頭の間あたりから肩甲骨周辺の”僧帽筋”もほぐしましょう。

最後に、老廃物をしっかり流すのがポイントです。手ぐしで、頭頂部から耳の後ろを通って鎖骨まで、すっきりするまで流します。

このちょっとしたマッサージで顔のリフトアップはもちろん、髪にツヤが生まれ、白髪が減る人も。

ゆず湯に入って、のんびりマッサージもいいですね。

今年の疲れとは、今年のうちにさようならをしましょう。

四季に寄り添い、祈るように暮らす

今年の4月からスタートしました私の連載『四季に寄り添い、祈るように暮らす』。

古の人は四季折々の花や草木を愛で、旬のものを味わい、自然に宿る見えざる力を神と敬い、祟め、「ありがたい」という感謝の心で生きていました。

そんな昔ながらの日本の暮らし、文化、風習、四季の言の葉、神社仏閣にまつわるお話をご紹介させていただきました。記事を読んでいただき、ありがとうございました。

年が明け、初詣へお出かけになる方は多いと思いますが、お時間がありましたら、年内、「今年も一年お世話になりました」という気持ちを込めて、是非、地元の神社へご挨拶に。

2020年も、一杯のお茶にホッと一息つくような、癒しのひとときをお届けできたらと思っています。

来年もよろしくお願いいたします。

どうぞ皆さま、しあわせな新年をお迎えください。

参考文献

『二十四節気に合わせ心と体を美しく整える』村上百代(著) 小学館『日本の歳時記』

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フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり連載「神様散歩」を執筆。『福を呼ぶ 四季みくじ』出版。カラーセラピストとしても全国で活動中。

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