心と体を調える女性のためのスピリチュアルメディア『AGLA』で、とくに人気の高かったコラムを再掲する「AGLAアーカイブス」。2019年8月22日公開記事『暮らしを彩るハーブの魅力(連載第3回)』よりお届けします。
今年は更に孟夏となりました。皆さま、熱中症対策は十分にお過ごしでしょうか?
しかも夜もエアコン無しでは睡眠が難しい・・・。
一日中気温差ストレスを抱えていませんか?
こんな暑さが続くと体調管理が難しくなるばかりではなく、秋冬に向けてのカラダ作りにも大きく影響が出てくることになります。
そこで今回のテーマは「夏バテ」。
そのメカニズムと、夏バテが及ぼすカラダへの影響を考えた上でお薦めのハーブをご紹介します。既に夏バテ気味の皆さまも、ハーブで元気になってくださいね!
夏バテの原因と影響
そもそも夏バテというのは、高温多湿の夏にカラダが対応できなくなり、カラダがだるいとか、食欲不振になるなどの「夏」に起こるカラダの不調を言います。
室内外の温度差は体力を大きく消耗するため、暑すぎたり寒すぎたりを繰り返すことでそのストレスによって自律神経がうまく働かなくなることから起こる不調(室内外の気温差が5℃以上になると、自律神経が乱れやすくなるという研究報告があります)。
要するに交感神経と副交感神経のスイッチのオンオフがうまく機能しなくなるわけです。
自律神経とは、私たちが意識しなくても働いてくれているカラダの機能のことを言い、例えば食べ物を食べると勝手に消化してくれたり、意識しなくても呼吸をしていたり、また汗をかいて体温調整していることも自律神経が正常に働いている証拠です。
今の季節は、特に長時間屋外にいると、カラダの水分が不足気味になり、発汗異常がおこり、それによって体温調節がうまくいかなくなります。
この自律神経が乱れる事によって、胃腸の不調や全身の倦怠感などから食欲がなくなり、十分な栄養を摂れなくなることでさらにエネルギーをつくれなくなります。負の相乗効果、悪循環ですね。こうなるとパワーが出なくなります。
また、現代ではエアコンの室外機などの影響で、夜になってもなかなか外気の温度が下がりにくい環境にあるので、眠りが浅くなって十分な睡眠がとれず、日中の疲労が回復できないまま朝を迎える事になるります。これも「夏バテ」を引き起こす原因のひとつです。
夏バテを解消するハーブの選び方
夏バテの代表的な症状は、全身のだるさと疲労感。さらに夏バテから大きな病気に発展していくこともあるので早めに対処したいですね。このように夏バテは様々な症状が悪循環している状況ですが、大事なのは「疲労を回復」させること。
その為には十分に質の高い睡眠をとることが何より効果的です。そして質が高い睡眠をとるためには「リラックスモード」へのスイッチの切り替えが一番のポイントになります。
ハーブの多くはリラックス作用を得意とします。香り成分や鎮静や鎮痙のフラボノイド成分をたっぷり含んでいるので、好きな香りや甘味のあるハーブティーならリラックススイッチが入るでしょう。
代表的なハーブとしては、カモミールやリンデン。飲みやすく香りと優しい甘みでココロとカラダともにゆったりとした気持ちにしてくれてぐっすりと休むことができます。
シングルで飲むのもいいですが、いくつかのハーブをブレンドするのもお薦めです。リラックスの相乗効果をきっと体感していただけるでしょう。
ラベンダーはジェットラグ(時差ぼけ)対応のハーブでリラックス効果は抜群ですが、タンニンによる渋味の刺激でシングルでは飲みにくいティーになります。
ラベンダーを取り入れる場合は、ほんの少量だけブレンドしても香りが広がりますよ。お試しくださいね。
リラックスのハーブ
【キク科】
「胃腸のファーストチョイス」というニックネームを持つハーブ。優しい香りと甘みが特徴です。含まれる成分に鎮静作用をもつフラボノイド類がありますが、胃腸だけではなく肌の炎症にも外用で活用できる万能のハーブ。生理痛などの症状にも優しい香りでリラックスとともに炎症に働きかけます。但し、キク科アレルギーの人は気を付けて下さい。
【アオイ科】
「鎮めるハーブ」と言われるほど、鎮めることが得意なハーブ。ファルネソールという香りの成分と血流を安定させるフラボノイド成分がたっぷり含まれているので質の良い睡眠をもたらしてくれるでしょう。くせのない味で、とても美味しく飲みやすいハーブで不眠で悩んでいる人に大変お薦めです。
【シソ科】
「ハーブの女王」と呼ばれ、リラックスの代名詞でもあるラベンダー。その香りは好き嫌いに関係なく副交感神経にスイッチが入るという研究報告も出ています。芳香療法で使われる事が多いですが、ティーでももちろん利用されるハーブです。
暑い夏でも、ゆっくりと温かいハーブティーを飲んで副交感神経のスイッチが入れば、呼吸や血流はもちろん成長ホルモンの分泌なども整って体調のバランスも回復していきます。
ぜひ冷たい飲み物で、冷えてしまった消化器官を温めて休ませてくださいね。日中の冷えた飲みものは消化器の機能を低下させ、食欲不振を招きます。その結果、カラダに必要なエネルギーやビタミンの不足を招くことがあります。
リラックスする事も大事ですが、健康なカラダをつくるためには、栄養価の高い食べ物を「量より質」を意識した食事を心がけるといいですね。
また、ビタミンとミネラルはカラダの代謝に重要な関わりを持っているので、栄養価の高い食品とともに意識して摂りたいものです。
ハーブにも根から吸い上げたビタミンやミネラルが多く含まれています。
中でも、夏に積極的に摂り入れて欲しいハーブは、ルイボス、ローズヒップ、ハイビスカスやマテなどで、いずれも「代謝」「利尿」「ビタミンとミネラル」がキーワードとなります。
代謝がキーワードのハーブ
【マメ科】
南アフリカの喜望峰でのみ育つハーブで「神様がくれたお茶」「抗酸化のお茶」と言われる理由は、紫外線が強い地域で育つために必要な植物化学成分を沢山つくることにあります。抗酸化を得意とするフラボノイド成分や地上深く根を張るルイボスには多くのミネラル分も成分としてもっています。
【バラ科】
「ビタミンCの爆弾」と言われるほど、ビタミンCの含有量は飲み物として摂取する中ではトップクラス。しかも熱でビタミンCは殆ど壊れないという研究報告も多数あります。ビタミンCは私たちのカラダの炎症や細胞の再生(コラーゲン生成)に大きく関わっています。沢山摂りたいビタミンのひとつです。
【アオイ科】
天然のスポーツドリンクとして日本でも1964年の東京オリンピック以降ずっと飲まれ続けているハーブティーだそうです。(持ち込んだのはドイツのマラソン選手アベベ)疲労回復や利尿効果などに非常にすぐれた作用を発揮します。前述したローズヒップと一緒にブレンドティーとして販売されている事が多いですが、クエン酸の代謝活動によってビタミンCを多く使うため、失ったビタミンCを補給をする点では相乗効果が期待できます。
【モチノキ科】
コーヒー、紅茶に並び世界三大ティーのひとつといわれているハーブ。国民ティーでビタミンとミネラルを多く含むため「飲むサラダ」として日常的に飲まれているハーブになります。ハーブには珍しいカフェインを含有していますが、含有量はコーヒーや紅茶ほどではないので、代謝の負担も少なそうです。
最後に、この夏の過ごし方で秋冬の免疫力を大きく左右するということを意識しましょう。毎年インフルエンザに罹患する、あるいは風邪をひきやすい人は「免疫力アップ」がキーワードになります。
不調を感じた時点で的確に対処できると回復も早いです。ぜひ、日々の自分の体調に耳を傾けながら過ごすようにしてくださいね。
この仕事をしていると、よく頂く質問は「ハーブティーを飲んでいれば病気になりませんか?」とか「ハーブだけで体調管理できますか?」といった内容です。
もちろんハーブティーは体調管理に活用できますが、あくまでも食事や休養、運動を含めたすべてのひとつの選択肢にすぎません。
カラダを温めたいときはハーブティーだけではなく、温かい食べ物やゆっくりお風呂に入るなどの全体の生活自体も見直してみてくださいね。
現代は皆さんが「健康」に意識が高くなっているため、より的確で簡単な予防法を提供していく事が求められます。
グルテンフリーやマクロビ、ローフード、酵素(補酵素)ジュース、ファスティングなど海外から色々な食事療法が取り入れられて流行していますが、中には日本人のカラダの作り上適用が難しいものなどがあります。そのため「何故?」という視点を持って取り入れられるようになるといいですね。
その点ハーブは昔からある植物療法で、伝統的裏付けも科学的実証(エビデンス)もあるので安心して取り入れていただけると思います。
ハーブティーの使い方や、飲み方、選び方などよく分からないという方も多いので、近くのハーブ教室で体験レッスンを受けられることをお薦めします。
最近は個人でハーブティー教室を開催する方が増えています。ぜひ色々な教室にでかけて体験されるといいですね。福岡にお越しの際は、ぜひ当スクールにもお越しください。
素敵なハーバルライフを。